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海外療養費制度
日本の健康保険には「海外療養費制度」というものがあります。
どういったものかというと、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やケガ等により「やむを得ず」現地の医療機関で診療等を受けた場合、加入する健保組合などの保険者に申請手続きを行うことにより、一部医療費の払い戻しを受けられる制度になります。
条件や支給金額、申請手順など説明したいと思います。
条件1.国内で「保険診療」のみ適用される
給付の対象条件は、日本国内で「保険診療」として認めれている医療行為となります。
したがって、治療を目的として海外に渡航し療養を行った場合には、「海外療養費」は支給されません。
例)
- 美容整形やインプラント等、日本国内で保険適用となっていない治療・投薬
- 日本で実施できない診療や治療
条件2.やむを得ず海外で治療が必要になった場合のみ
治療を目的で海外へ渡航し、治療を受けた場合は対象外となります。
海外療養費制度の支給金額
海外療養費制度を利用した場合、支給してもらえる額は、日本国愛で同じ治療を受けた場合にかかる治療費の額から、健康保険の自己負担分(3割)を差し引いた額になります。
ただし、実際に海外で支払った額が日本国内の算定額より低い場合は、海外で支払った額を基準に計算します。
また、外貨で支払われた医療費については、支給決定日の為替レートを用いて円に換算します。
(1)海外での医療費が高かった場合
例:海外での医療費が20万円・日本で受けたら10万円
日本で受けた場合の自己負担額は
10万円×30%=3万円
自己負担額を超える分の7万円を支給してもらいます。
そして、実際に支払った医療費が20万円なので、自己負担額は
20万円-7万円=13万円
となります。
(2)海外での医療費の方が安かった場合
例:海外での医療費は6万円・日本での医療費に換算すると10万円
自己負担額は、海外でかかった医療費をもとに計算
6万円×30%=1.8万円
となります。
自己負担額を超える4万2千円を支給してもらえます。
海外療養費制度の申請手順
申請手順は
- 海外の医療機関で医療費全額を支払う
- 医療機関で治療内容の証明書と医療費の明細書を受け取る
- 「療養費支給申請書」と日本語の翻訳文を添付した「診療内容明細書」「領収明細書」を加入する健保組合等の保険者に提出
注意:一旦自腹で医療費を負担する。申請できる期間は、海外で医療費を支払った日から2年後まで。
高額療養費制度も利用可能
以前にブログでご紹介した「高額療養費制度」も利用ができます。
支給額は日本での治療における保険点数に基づいて決定されるため、内外価格差は含まれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
海外渡航中に急な病気等でやむを得ず現地で治療を受けた場合、海外療養費制度の申請手続きを行うことにより、全額負担のピンチは救われます。
しかし、海外の医療費は高額な事が多いため、差額負担の可能性もあります。
いざという時のために、海外旅行保険に入っておくのもさらに安心かもしれませんね。