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健康保険組合が保険料収入増でも赤字になってしまう理由とは
冬の訪れを感じる季節になりました。いかがお過ごしでしょうか。
保険料控除証明書は届いていますか?
保険料控除証明書は年末調整や確定申告で必要になります。届いていない、紛失してしまった場合は再発行をします。必要な方はお早めにご連絡ください。
10月に健保連(健康保険組合連合会)が発表した令和5年度の決算見込みによると、保険料収入は前年比2.6%増だったにもかかわらず、1,380組合のうち約53%にあたる726組合が赤字に、全体で1,367億円の赤字だったようです。
支出の内訳は以下になります。
・保険給付費:4兆7,301億円
・後期高齢者支援金:2兆1,526億円
・前期高齢者支援金:1兆4,999億円
赤字の主な要因の一つは高齢化です。支援金の合計が3兆6,526億円と、現役世代への給付費に匹敵する規模にまで膨らんでいることがわかります。
国民一人が1年で使う医療費の平均は、75歳未満が25万2,000円なのに対し、75歳以上は96万5,000円と、75歳以上の人は75歳未満の人の約3.8倍の医療費を使っています。
来年には団塊の世代が全員75歳以上になることを考えると、当面この傾向が続くと見込まれています。
もう一つの要因は、高額治療・高額薬の普及です。
1,000万円以上のレセプト件数は平成26年(2014年)には年間300件でしたが、令和5年(2023年)には2,156件に増えました。
患者にとっては朗報ですが、保険財政にとっては新たな課題と言えるかもしれません。
赤字拡大を抑制するために、健保連は次のような提言を行っています。
・前期高齢者(65~74歳)の年齢範囲を70~74歳に引き上げ、窓口負担を原則3割に変更する
・後期高齢者(75歳以上)については、現役並み所得者以外は2割負担とする
・高額療養費制度については、自己負担限度額を見直し、国庫補助金を増額する
すべての国民が良質な医療を低コストで受けることができる日本の保険制度を維持するためにも、制度の見直し議論が加速していくと考えられます。
私たちも現状の制度を前提とするのではなく、将来の制度の方向性を見据えた備えが必要かもしれませんね。
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