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「高齢社会白書」からわかる今後深刻化する課題とは
旅行や帰省などそれぞれの夏休みをお過ごしのことと思います。
2024年6月に公表された「高齢社会白書」によると、2023年10月時点の日本の状況は以下の通りです。
総人口:
1億2,435万人
65歳以上人口:
3,623万人
高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合):
29.1%
総人口が減少する中、65歳以上人口は増え続けています。
認知症の増加という課題
高齢化率がピークを迎えると予測される2070年には、65歳以上の人が総人口の38.7%を占め、2.6人に1人が高齢者になると予想されています。
高齢者の増加とともに、認知症の増加も大きな課題となっています。2024年5月に厚生労働省が公表した認知症及び軽度認知障害の患者数の将来推計は以下の通りでした。
2040年
認知症患者数:584.2万人
軽度認知障害の患者数:612.8万人
2050年
認知症患者数:586.6万人
軽度認知障害の患者数:631.2万人
2060年
認知症患者数:645.1万人
軽度認知障害の患者数:632.2万人
※軽度認知障害(MCI):認知症と診断される一歩手前の状態です。放置すると認知症に進行しますが、適切な予防により健常な状態に戻る可能性があります。1年で約5~15%の人が認知症に移行する一方、約16~41%の人は健常な状態に戻ります(厚生労働省MCIハンドブックより)。
2060年の推計によると
総人口:
9,615万人
高齢化率:
37.9%
認知症または軽度認知障害を抱える人の割合:
人口の約13%、高齢者の35%
認知症のみの割合:
人口の6.7%、高齢者の17.7%
介護保険料の大幅上昇
このような状況を受け、介護保険制度が始まった2000年の全国平均の介護保険料が2,911円だったのに対し現在の全国平均の介護保険料は6,225円と大幅に上昇しています。
介護の問題は、経済的側面だけでなく社会的側面も重要です。
現在でも、介護人材の不足、ヤングケアラー(家族の介護を担う若者)の増加、ビジネスケアラー(仕事と介護の両立に苦慮する人)の増加と介護離職、などの課題がありますが、今後さらに深刻化することが懸念されています。
家族との話し合いの準備も大切
自分が認知症になるか否かにかかわらず、経済的な準備はもちろん家族との話し合いなどの準備をしておくことが大切ではないでしょうか?
保険や年金についての気になることがあればご遠慮なくお問合せください。
ご参考
高齢社会白書(令和6年版)
認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究
介護保険の給付と負担について(厚生労働省)
(5ページに介護給付・介護保険料の推移グラフがあります)